USCPAのお仕事

USCPA(米国公認会計士)に将来性はあるのか?高年収は狙えるか?

2022年1月16日

この記事で解決できる悩み

  • USCPA(米国公認会計士)って将来性あるの?
  • 今後も高年収を狙える資格なの?

USCPAに興味をもったきっかけが年収アップを狙えるから、という方も多いのではないでしょうか。

本記事ではUSCPAの将来性、年収について考えていきます。

本記事の信頼性

ブログ管理人
りくぞう
  • USCPA(米国公認会計士)試験に6回不合格、10年挑戦して全科目合格を達成
  • 米国BIG4勤務経験あり
  • 米国会計大学院卒

そもそもUSCPA(米国公認会計士)って?

USCPA(United States Certified Public Accountant)とはアメリカの各州の公認会計士協会によってその適正を認められた会計士のことです。

適正を認められるには学歴、試験、実務経験の3点を満たす必要があります。

学歴と実務経験については各州によって基準が少し変わります。

試験は全米統一です。

つまりどの州でUSCPAになろうとしても同一の試験を受けなければいけません。

試験は全部で4科目。

この試験の難易度は諸説あって、難しいという人もいれば、簡単という人も。

日本の公認会計士のように、USCPAの独占業務は監査です。

ある州でUSCPAライセンスを取得した会計士は、その州で監査書に署名をすることができます。

独占業務はぶっちゃけこれだけ。

会計コンサル(アドバイザリー)や税務はUSCPAの独占業務ではありません。

コンサルは資格がなくても誰でもできるし、税務は税理士や弁護士も行えます。

独占業務が監査しかないとはいえ、一般の事業会社の経理職バックオフィスで業務する人コンサル税理士にも人気がある資格です。

アメリカの大学には会計学科があり、その中からUSCPAにチャレンジする人はけっこう多いです。会計学科はアメリカの文系学生に人気のある専攻。

日本でも昔から、「国際性」、「グローバル」、「英語人材」といった文脈で注目されてきた資格です。

日本の公認会計士試験がおそろしく難しいので、「そこまで労力必要じゃないけど、ビジネスの基礎である会計x英語、のUSCPAってなんかバランス良くね?」と認識されてきました。

2010年代から日本でも受験できるようになりました。

かつてのように海外出張受験が不要になったことで、費用と時間とメンタルの面から資格取得のハードルは低くなりました。(とはいえ大体100万円の受験費用がかかりますが…)

USCPAの将来性

果たしてUSCPAに将来性はあるのか?

結論としては、まだまだ将来性はあると思います。

二つ点からUSCPAの将来性を語ってみます。

USCPAの将来性が高い理由1|マーケットとしてアメリカがまだまだ強いから

国単位で今後30年のマーケットを見た場合、中国とアメリカのぶっちぎりでしょう。

USCPAに対する需要は、アメリカの安定的に拡大するマーケットと比例して増えていきます。

会計」や「税務」が企業活動の根幹すぎるので、この業種がなくなることはまずありません。

市場拡大していく国でなくならない業種の専門家=USCPA。

すべての企業活動にUSCPAの業務が不可欠なので、マーケットがある限りUSCPAの需要はありつづける

ましてアメリカのように、既にパイがでかいにもかかわらず人口も増えつづけける、というケースはとても魅力的です。

ただ、頭にいれておきたいことは、この先どんどんIT化やAI化が進み、定型作業(決まりきったルーティン作業)でご飯は食えなくなるかも、ということです。

将来USCPAが必要なくなる分野|INTUIT社の例

INTUITというアメリカ大手IT企業は会計ソフトウェアの開発力があります。

代表的な商品はQuickbooksという記帳ソフトです。

INTUITや将来現れるスタートアップ企業が会計に関するルーティン作業をどんどんAI化させていたくことは必須と思われます。

USCPAはこうした定型作業はAIに任せ、より脳みそのリソースを要する非定型な作業を担当してくことになります。

定型作業とはたとえば記帳業務。

非定型作業とはたとえば、税制改正によってクライアントにどのような影響があるかを考えること・説明すること、とか。

一方、クライアントとのコミュニケーションまわりはまだAIに取ってかわられないでしょう。

クライアントとのコミュニケーションってめんどくさかったり、緊張するじゃないですか。

この「緊張する、めんどくさい」っていうのは、脳みそでカロリーをいっぱい消費している証拠で、AIではまだ置き換えづらい、置き換えるにはまだコストが割高です。

USCPAの将来性が高い理由2|コンプライスの重要性

投資、融資、顧客としての取引、ベンダーとしての取引、などを行うときに取引相手を信用できるかできないか、という問題にぶちあたります。

この問題がある限りUSCPAの需要はあります。

企業活動があるところに信用コストあり。

信用コストあるところに、USCPAの需要あり

将来、テクノロジー(ブロックチェーン?)でこうした信用コストが無くなるまで、USCPAが財務諸表の信用性を担保したり、税務申告を代行することで税務当局にその信頼性を担保する価値があり続けるでしょう。

USCPAは高年収なのか?

将来性が(まだ)ありそうなのは分かりました。

では儲かるのだろうか?高年収なのだろうか?

USCPAの年収は?

  • 経験を8年つめれば1,000万円プレイヤーの道が見えてくる
  • USCPA資格を取ってから、というより、中堅~大手監査法人・税理士法人でシニア、マネージャーになることが1,000万円への道のり、と考えた方がよい
  • いちばん早くて7~8年目からマネージャー

りくぞう

アメリカの会計士のキャリアのスタートはけっこう薄給です。

BIG4でも日本円で500万円(5万ドル)スタート。

でも順調に昇進すると、7~8年目でマネージャーという肩書き。すると年収1,000万円(10万ドル)がすぐそこに。

日本では、業界10年で1,000万円

アメリカでは、業界10年で10万ドル。

これが相場です。

詳しくは下記のエントリで考察していますが、USCPAが狙える年収は「悪くない、むしろ良い。でも1部上場企業と比べると同水準か、下手したらやや下かも」というのが正直なところ。

「業界10年」とは、例えば監査であれば、準大手~大手の監査法人でフルタイムとして通算10年在籍するということです。この間、準大手~大手の間を転職していてもOKです。通算10年がポイント。

税理士法人の場合も同様です。

新卒23歳から同じライン(監査なら監査、税務なら税務)を10年続けると、33歳で1,000万円プレイヤー入り。

1部上場企業の社員からしたら「まあそんなもんちゃう?」だし、そうでない場合は「それはおいしい」という塩梅ではないでしょうか。

中途で会計業界りする人もたくさんいます。

またUSCPAという明確なシグナル(資格)があるので、転職活動は他の業種に比べ容易なのではないかと思います。

そういう意味でこの業界は門戸が広いです。

1部上場企業にすでに勤務する人はUSCPAにチャレンジするべきではないのか?

USCPAに挑戦する価値は十分あります。

なぜなら日本の1部上場企業で得られる経験・スキルは、その会社でしか使えない、その会社だからこそ価値がある、ってことが多いです。

わたしは新卒で日本の1部上場企業につとめて営業を経験しましたが、どこに行っても使えるスキルを学べたか、と言われるとそんなことはありませんでした。

当時とくらべ、USCPAライセンスを持つ今は、「何かあったら転職、最悪個人事業主でもやれるかも」という自信があります。

年収は良いけど居心地の悪い環境から抜けることができない、ってつらいですよね。

USCPAはそんな状況を打ち破るひとつのきっかけを与えてくれます。

ですので、今1部上場企業または高年収を期待できる会社に今つとめているとしても、USCPA資格を取ることに意味はあります。

終わりに

USCPA(米国公認会計士)に将来性はあるのか?高年収は狙えるか?

将来性は十分ありそうです。

アメリカの市場は今後数十年間広がりつづけることは確実。

また企業活動がある限り、そこに財務・税務コンプライアンスはありつづける。

そう考えるとUSCPAの将来性は間違いなくアリ。

年収についても、10年で1,000万円プレイヤー入りという目安なので、こちらも「高年収は狙える」と言っても良いでしょう。

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