USCPA試験の勉強法 USCPA試験の概要

英語ができなくても米国公認会計士(USCPA)受験を成功させるために

2022年12月10日

この記事で解決できる悩み

  • 英語が苦手でもUSCPA試験に合格できる?
  • 英語が苦手な人の最短合格法を知りたい
  • 英語ができない人のUSCPAキャリアとは?

本記事では英語が苦手でもUSCPA試験を成功させる方法を解説します。

今あなたが英語に苦手意識をもっていても大丈夫。

本記事を読めば、無事にUSCPA試験をパスすることができ、あなたの理想とするキャリア・経済状況に一歩近づくことができます。

本記事の信頼性

ブログ管理人
りくぞう
  • 「USCPA受験の疑問に答えるブログ」管理人
  • USCPA(米国公認会計士)試験に6回不合格、10年挑戦して全科目合格を達成
  • BIG4のPwC勤務を経て、現在中堅USCPAファームのアドバイザリー
  • 日米の会計業界で10年

どのくらいの英語力があればUSCPA試験に合格できるのか

受験生

わたしは英語が苦手です。それでもUSCPA試験に合格できるのでしょうか?

りくぞう

英語が苦手でもUSCPA試験合格は可能です(断言)

必要な英語力はTOEIC 750点で十分、最悪大学受験英語でOK

USCPA試験に合格するためにはどのくらいの英語力があればよいのでしょうか。

当ブログが提唱する目安は下記です。

USCPA試験に必要な英語力

  • 目安はTOEIC750点
  • 最低限は大学受験英語

安心材料は、

  • スピーキングがまったく必要ない
  • リスニングがまったく必要ない
  • ライティングがほとんど必要ない

そもそも受験申請に大学の単位が必要。

なので、申請できる時点で最低限の英語力はクリアできてる人がほとんど。

TOEIC 750点というレベルは、ある程度しっかり試験勉強していないと到達しないレベルです。

しかし、高校3年間の英語であればUSCPA試験に挑戦するほぼ全員が既に到達している水準。

りくぞう

結論、USCPA試験に向けて特別に英語の勉強をする必要はありません

のちほどもう少し詳しくUSCPA試験で必要な英語を分析したり、英語が苦手な人のUSCPA試験攻略法を解説しますが、これが当ブログの見解です。

USCPA予備校が考える受験に必要な英語力

アビタス、TAC、プロアクティブ、大原(USCPA予備校)では、試験に必要な英語力を次のように説明しています。

アビタス

アビタスが考えるUSCPA試験に必要な英語力
アビタス ウェブサイトより

USCPAの専門校であるアビタスのオリジナルテキストを使用すればTOEIC400~500点レベルから合格可能です。

TAC

TACが考えるUSCPA試験に必要な英語力
TAC ウェブサイトより

本科生コースで使用するTACテキストには分かりやすい日本語解説及び章ごとに英日対訳専門用語リストが付いており、英語力に不安がある方でも無理なく学習を進めることができます。

プロアクティブ

プロアクティブが考えるUSCPA試験に必要な英語力
プロアクティブ ウェブサイトより

英語が苦手でもUSCPA試験に合格は可能でしょうか?

プロアクティブなら可能です!

大原

大原が考えるUSCPA試験に必要な英語力
大原 ウェブサイトより

「大原の講師による分かりやすい日本語の講義」と「アメリカで人気のRoger講師による英語の講義」の2つの講義を完備しており、両方ご受講いただけるので、ご自身の英語力に合わせて自由に組み合わせることも可能です。また、早い段階で英語に慣れていただくためにも、4科目それぞれに英語のテキストで学習します。その他、日本語のレジュメがつくので、英語に不安がある方も安心して学習ができます。

このように各予備校ともUSCPA試験にそこまで高度な英語力は必要ないと考えています。

アビタスが提唱する400~500点は、まさにわたしが大学1年生の時にはじめて取ったTOEICの点数です。

りくぞう

つまり高校3年間の英語でUSCPA受験の準備はもうできていることになります

具体的にはどんな英語力が必要なの?

USCPA試験にはいったいどんな英語力が必要なのでしょうか?

次の点から説明します。

  • 問題文の意味を理解する力(リーディング)
  • 文章でコミュニケ―ションできる力(ライティング)
  • 話す力と聞く力(スピーキング&リスニング)←必要ない

問題文の意味を理解する力(リーディング)

りくぞう

USCPA試験で必要な英語力とは、すばりリーディング力、つまり問題文の意味を理解する力です。

USCPA試験の出題形式は下記の3つです。

  • 選択式(Multiple Choice:MC)
  • 事例式(Task Based Simulation:TBS)
  • 記述式(Written Communication:WC)

TBSは、数字を記入するパターン、またはすでに用意されている候補から回答を選択するパターンのどちらかです。つまり英語を書くことはありません。

記述式は、その名の通り英語で回答を記述します。しかしBECのみで出題されますし、その配点は小さいです。

つまり、USCPA試験で必要な英語はほぼリーディング力だけ。

受験生

実際の問題を見てみましょう

りくぞう

パっと見、むずかしそうですが、実際はそこまでたいしたことないので安心してください

USCPA選択式問題サンプル
BEC MCサンプル問題(AICPAウェブサイトより)

A company predicted that it would manufacture 10,000 units of finished goods during March. The direct labor standards indicated that each unit of finished goods requires 2.4 direct labor hours at a standard wage of $20 per hour, totaling $48.00 per finished good unit. During March, the company actually made 9,000 units of fnished goods. Prodcution used 2.5 labor hours per finished unit, and the company actually paid $21 per hour, totaling $52.50 per unit of finished product. What amount is the company's direct labor rate variance for Mach?

$18,000

$22,500

$25,000

$40,500

りくぞう

どうでしょうか?そこまで難しい英語には感じませんよね?

受験生

たしかにこの程度であれば大学受験英語でなんとかなりそう…

つづいてTBS問題を見てみましょう。

TBS問題は問題文に加えて、参考資料を読み込まないといけません。

MC問題にくらべて処理しなければいけない情報はTBS問題の方が圧倒的に多いのが特徴。

BEC TBSサンプル
BEC TBSサンプル問題(AICPAウェブサイトより)

この問題、設問部分の英語は下記だけ。シンプルですよね。

Oil, Inc., a privately owned oilfield-services company, borrowed from TH bank in year 5. The controller has asked you to calculate key metrics to determine compliance with loan covenants. The company generated $2,050,000 in cash flow from operations in year 5.

Using the information included in the exhibits above, complete the table below for the year ended December 31, year 5.

この問題は各種指標(Quick ratioやDebt ratio)を算出することを問うています。

そのためには、BalanceSheetやIncome Statement、その他の資料を分析する必要があります。

とはいえ、そうした資料の分析にもそこまで高度なリーディング力を必要としません。

なにせ財務諸表の大部分は数字の情報ですので。

受験生

TBS問題は、その情報量に圧倒されてしまいます

りくぞう

わかります。でも、高度なリーディング力を必要とするかというとそんなことはありません。

文章でコミュニケ―ションできる力(ライティング)

前述の通りUSCPA試験の一科目BECでは記述式(Written Communication: WC)問題があります。

しかし、現時点のWC問題への配点は15%。

合格点は75%なので、極論WCを全て捨てても理論的には合格が可能なのです。

りくぞう

ここでWC問題のサンプルを見てみましょう

BEC Written Communication サンプル
BEC WCサンプル問題(AICPAウェブサイトより)

The CFO of your company is considering the implementation of a payment of a payment policy that will capture all cash discounts offered by vendors. Currently, your company’s policy is to pay all invoices 60 days from receipt of a vendor's invoice.

The CFO has asked you to prepare a memo summarizing key issues to consider prior to the implementation of a payment policy that captures all cash discounts offered by vendors, including any advantages and disadvantages of the policy.

Type your communication in the response area below.

りくぞう

さて、上記の問題に対するサンプルの解答です。

BEC WCサンプル問題の回答(AICPAウェブサイトより)
受験生

この解答のクオリティ高すぎないですか?こんな文章書けませんよ!

りくぞう

これはAICPAのサンプル解答=模範解答なので、100点満点のクオリティです。日本の受験生のほとんどはこれよりずっと質の低い作文で受かっています。

やや古いデータですが、BECの作文の得点率は米国内受験者(ほぼアメリカ人)と日本受験者(ほぼ日本人)とで次のように大きな差があります。

受験者属性BEC作文パート得点率(数カ年平均)
アメリカ人74.0%
日本人13.4%
NASBA 2015年資料
りくぞう

英語ネイティブにとって作文パートは得点源、日本人にとってはたった1割しか取れない鬼門…

受験生

ひどい泣

話す力と聞く力(スピーキング&リスニング)←必要ない

USCPA試験においてスピーキングとリスニングは一切必要ありません。

TOEFLやTOEIC、英検などではリスニングはもちろんスピーキングの試験があります。

でもUSCPA試験は違います。

あくまで会計の知識を問うことが目的であり、英語力を測るものではありません。

この点は安心してよいです。

受験生

わたしはスピーキングがとても苦手なのでほっとしました…

大学受験英語だけで最短合格するための方法

では大学受験英語だけでどうやってUSCPA試験に合格するのか。

大学受験英語だけで最短合格する効率的な方法をお伝えします。

りくぞう

結論は、日本語のテキストを使うべし。

受験生

それだけ!?当たり前ですよね??

かっこつけてBeckerやWileyの英語テキストで勉強しないことが実はすごく大事。

米国などの英語圏の大学に行った人に陥りがちな行動ですが、ついつい洋書に手を出してしまいます。やめましょう。

洋書とは英語で書かれた教材のこと全般を指します。

Becker、Wiley、Gleim、Roger等はUSCPA教材として有名ですが、当然テキストも問題演習も英語です。

りくぞう

もっと言ってしまえばテキストはアビタスを使うことが最短合格。

日本語のテキストは、アビタス、TAC、プロアクティブのプログラムを受講すれば入手できますが、アビタス一択です。

最短合格の方法

  • 教材はアビタス一択
  • アビタスでないならせめて日本語テキストを使う

数々のUSCPA教材を試した筆者だから分かるのですが、テキストの質はアビタスがダントツです。

テキストの見やすさ、解説の平易さが他の教材にくらべて優秀です。

筆者はTACのテキストでがっつり勉強したことがありますし、プロアクティブのテキストも参照した機会があります。

洋書テキストではWiley、Becker、Gleimなど複数試しました。

結論、アビタスのテキストの質が一番。

逆にいうと、USCPA試験に早く合格したいなら洋書のテキストは絶対に避けるべきです。

問題演習は洋書でもまあOK。

洋書はわれわれの第二言語である英語で書かれているからということに加え、非常に読みにくいレイアウトです。

洋書って価格が安いのでついつい手を出したくなるのですが、絶対やめましょう。

洋書がNGな理由

  • 英語で書かれており、びっくりするくらい理解に時間がかかる
  • 参考書としてのレイアウトがむごい、読みづらい

会計理論や税法を英語で読んで理解するってけっこうたいへんです。

ぜんぜん頭に入ってきません。

そのうえ、参考書として読者の理解を促進してあげようとする精神が(日本の参考書と比べて)皆無なのが洋書。

りくぞう

実際に多くの教材を使って勉強したことがあるわたしだから分かりますが、アビタスのテキストが一番分かりやすいです。

USCPA試験はだまってアビタス一択。

結局、これが一番の近道となります。

受験生

もうすでにアビタスを使っているのですが…?

りくぞう

そういった方は、すみません、それ以上は望めません…

あなたの勉強法は最適解に近いので、そのまま続けてください。

あとはひたすら問題演習を繰り返すだけ、努力と根性のフェーズとなります…

さて、洋書を使うな、日本語テキストを使え、ということはUSCPA試験の勉強で英語力の向上を目指すな、ということと同義です。

USCPA試験を通じて英語力の向上をはかりたい、という方もいらっしゃると思います。

このトピックは後述します。

英語ができないけどUSCPAとして仕事ができるか

さて、ここでUSCPA試験合格後の将来の話をさせてください。

あなたが無事にUSCPA試験に合格したら、どんなキャリアが待っているでしょうか。

英語ができないけどUSCPAとしてやっていけるのかどうか、英語ができない場合はどんなUSCPAキャリアがあるのか、を解説します。

英語ができないけどUSCPAの仕事ってできるの?

りくぞう

結論、できるっちゃできる。ただしキャリアはすこしだけ狭くなります。

ほとんどのUSCPAのキャリアでは英語を少なからず使います。

英語力を軸にすると、USCPAのキャリアは次の3つに分類できるでしょう。

  • 英語がほとんど必要ないキャリア
  • ある程度の英語力が必要なキャリア
  • レベルの高い英語力が必要なキャリア

日本で働くのか、海外に行くのか、クライアントは日系なのか外資系なのか、などによって異なります。

より本質的に言えば、レポートラインが日本語なのか英語なのか、がカギです。

下記の表はUSCPAのキャリアとして可能性のある全ての職種を網羅しているわけではありませんが、代表的なものをピックアップしました。

そうした代表的なキャリアで必要になる英語力をレベル別で整理しています。

英語力職種例
ほとんど必要ない日系企業の経理
日本オフィスの監査法人で日系クライアント担当
ある程度の英語力が必要日系の現地法人の経理
現地の監査法人・税理士法人で日系クライアント担当(BIG4含む)
日本オフィスの監査法人で外資系クライアント担当(レポートラインが日本語)
レベルの高い英語力が必要外資系企業の日本支社の経理・内部統制
日本のオフィスの監査法人で外資系クライアント担当(レポートラインが英語)
外資系の現地企業の経理

英語がほとんど必要ないUSCPAキャリア

たとえば、日系企業の経理であればほとんど英語を使う場面はないでしょう。

また日本オフィスの監査法人でのキャリアにおいても、もし日系クライアントを担当することになれば英語はほぼ使いません。

ちなみに当ブログでは日本オフィスのBIG4監査法人、BIG4移転価格のキャリアを狙えることがUSCPAの最大のうま味のひとつだと思っています。

ある程度の英語力が必要なキャリア

日本の親会社が米国などの英語圏に現地法人を保有しており、日本のオフィスで働くあなたが現地法人の経理担当であれば必要とされる英語力は上がります。

現地法人の窓口が英語しか使えなかったり、現地法人が使っている監査法人や税理士法人が英語だけでしかコミュニケーションできない場合があります。

また、英語圏では日系クライアントをメインとする会計事務所が存在します。

BIG4の中にも日系クライアント担当グループが必ずあります。(Japan Practiceや日系企業グループと呼ばれる)

こうした現地の会計事務所で日系クライアントを担当する場合、当然ある程度の英語力は必要です。

なぜなら証憑は英語ですし、税務当局対応も英語、クライアントスタッフとのコミュニケーションも英語で取れなければいけないケースも多々あるでしょう。

りくぞう

とはいえ、上司やクライアントが日本人や日本語を話す人が圧倒的に多いです。

つまりレポートラインが日本語。

なので実はあまりレベルの高い英語は必要ありません。

受験生

現地のBIG4に勤務する場合でも高い英語力が必要ないということですか?

りくぞう

はい、その通りです。

レベルの高い英語力が必要なキャリア

上司やクライアントとのコミュニケーションが英語になる場合、つまりレポートラインが英語の場合、レベルの高い英語力が求められます。

こうしたケースはインバウンドが多いです。

インバウンド案件
インバウンドとは外国企業が日本で活動する形態。
たとえば下記はインバウンドと当ブログでは考えます。

・外資系企業の日本支社の経理や内部統制

・日本のオフィスの監査法人で外資系クライアント担当

・外資系クライアントを担当するアウトソース業務(記帳、給与等)

このように海外から日本に進出している会社であったり、そうしたクライアントをメインに担当する監査法人や税理士法人で働く場合、レベルの高い英語力が必要です。

アウトバウンド、つまり日系企業がアメリカ等の海外に進出している場合、前述の通りレポートラインが日本語なので、インバウンドより英語を使わないというのは興味深いです。

受験生

日本で働いている方が、アメリカなどの現地企業で働くより高度な英語力が必要ってこと?

りくぞう

インバウンド案件を扱う場合、その通りです。

USCPA試験の勉強を通して英語力は向上するのか

さて、前の章ですこしだけ言及しましたが、USCPA試験の勉強を通して英語のスキルを上げたいと思う受験生もいらっしゃるでしょう。

りくぞう

その考え方、ちょっと待った!

前述の通り、当ブログのスタンスは「USCPA試験の教材は、アビタス一択」です。

テキストが日本語で書かれているからです。

受験生

となると、USCPA試験の勉強を通して英語力を向上させる、という目的は遠ざかりますよね?

日本語で勉強するわけですから…

りくぞう

当ブログの優先順位はUSCPA試験に全科目合格すること。

そのために日本語テキストの使用をお勧めしています。

もしUSCPA試験を通じて英語の勉強も兼ねたい、英語のスキルアップをはかりたい、という場合は洋書で勉強することもアリです。

ただし、全科目合格の難易度はとても高くなります。

おわりに

本記事では次のような悩みに答えてみました。

  • 英語が苦手でもUSCPA試験に合格できるのか?
  • 英語が苦手な人の最短合格方法は?
  • 英語ができない人のUSCPAキャリアとは?

英語が苦手でもUSCPA試験は合格できます

大学受験英語、つまり高校3年間の英語がおさえておけばUSCPA試験の英語に関しての準備はもうできています。

英語が苦手な人は、絶対に洋書に手を出さない

日本語のテキスト、とりわけアビタスで勉強する。

シンプルですが、現時点でのUSCPA試験攻略法はこれです。

細かい勉強テクニック、受験テクニックはたくさんありますが、まずは幹をおさえましょう。すなわち、テキストはアビタス一択。

英語ができない人のUSCPAキャリアとしては、レポートラインが日本語の職種を選ぶ、ということです。

つまり上司やクライアントとのコミュニケーションを日本語で行うポジションを狙う、ということ。

日系企業での経理、監査法人での日系クライアント担当という職種が分かりやすいです。

また、オフィスが海外だとしても日系企業であればレポートラインが日本語なので意外と英語力が必要ない、という事実もおもしろいです。

海外オフィスのBIG4だとしても、日系企業担当であれば、上司もクライアントもみんな日本人(日本語話者)ということはザラにあり、高度な英語を使用する機会がありません。

以上、参考になれば幸いです。

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