この記事で解決できる悩み
- USCPA試験の勉強ってたいへん?どれくらい時間かかるの?
- ムリなく学習するためのスケジュールは?
- なるべく早く合格できる勉強方法、学習プラン教えて!
USCPA試験って、合格までに時間がかかるって聞きました。仕事と勉強の両立ができるか不安…
やみくもにUSCPA試験の勉強をはじめても、効率的な学習ができず、かかるのは時間とお金ばかり。
結果、勉強の途中でフェードアウトしてく人たちもたくさんいます。
でも、だいじょうぶ。
USCPA試験に合格した先人たちの学習方法を参考にすれば、そうしたリスクは最小限に抑えられます。
全科目合格を果たすコツのひとつは、適切な勉強スケジュールをたてること。
本記事ではUSCPA試験合格に必要な学習スケジュールを、受験生の特性にあわせて紹介します。
受験生が会社員なのか学生なのか、英語力や会計の知識はどれくらいあるか、などスペックによってどのような学習プランが現実的か決まります。
全科目合格に向けて自分はどのような勉強スケジュールを想定すべきか、本記事で解説します。
本記事の信頼性
- 現役のUSCPA(米国公認会計士)
- USCPA試験に6回不合格、10年挑戦
- 苦しみぬいた末、勉強方法を変えたところ全科目合格を達成
- 米国BIG4勤務経験あり
- 米国会計大学院卒
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目次
USCPA試験の概要
まずは、カンタンに試験の概要を確認しましょう
USCPA試験は全4科目で構成されています。
- FAR:Financial Accounting (財務会計)
- REG:Regulation(商法、税法)
- AUD:Auditing and Attestation(監査)
- BEC:Business Environment and Concepts(ビジネス)
99点満点中75点以上を取れば合格です。
科目合格の有効期限は18カ月。
たとえば一番最初にAUDを合格した場合、そこから18カ月以内に残りの3科目に合格しないと、もう一度AUDを受験しなければいけません。
次のような受験料が発生します。
新規申請料 | 170ドル |
再申請料 | 90ドル |
1科目あたりの受験料 | 226ドル (4科目合計で約905ドル) |
国際試験利用料 | 372ドル |
国際試験利用料とは、アメリカ以外の地で受験する場合に発生します。
つまり日本で受験する場合この国際試験利用料を支払う必要があります。
受験料だけで最低15万円以上かかりますね…
試験会場はプロメトリックという民間の会社が運営しています。
日本のプロメトリック会場は東京と大阪にあり、ほぼ毎日試験が開催されています。
東京会場:
〒101-0062
東京都千代田区神田駿河台4-6
御茶ノ水ソラシティ アカデミア5
大阪会場:
〒531-0071
大阪府大阪市北区中津1-11-1
中津センタービル7F
受験申請には、留意点がいくつかあります。
まず、USCPAは国ではなく州が管轄しています。
つまり州の公認会計士協会に対して受験申請をする。
どの州にするかは自分で決めます。
州によって受験条件が異なりますので、自分に合った州を探します。
受験資格が最もゆるいのはアラスカ州で、会計単位が15単位あれば受験申請が可能です。
また、受験条件とライセンス条件が異なる点も要注意。
USCPA試験の難易度は?
USCPA試験ってどれくらいたいへんですか?日本の公認会計士がとんでもなく難しい試験だってのは聞いたことがあるけど…
合格率だけでみるとUSCPA試験は日本の公認会計士試験ほど難しくはありません。
以下のチャートは、米国公認会計士協会(AICPA)のウェブサイトで掲載されている2021年度の合格率です。
科目 | 第1四半期 | 第2四半期 | 第3四半期 | 第4四半期 | 累積 |
AUD | 48.56% | 50.49% | 47.21% | 45.04% | 47.98% |
BEC | 62.16% | 63.31% | 61.73% | 60.27% | 61.94% |
FAR | 46.64% | 42.63% | 47.83% | 40.70% | 44.54% |
REG | 59.29% | 58.81% | 63.12% | 57.78% | 59.88% |
4科目を単純に平均してみたら合格率は50%以上となります。
日本の公認会計士試験の論文式の合格率は、昨年2021年度は9.6%だったようです。
米国公認会計士試験は合格率50%、日本の公認会計士試験は10%…。合格率だけでみればUSCPA試験がカンタンそう…。
後で詳しく書きますが、USCPA試験の勉強はおおよそ1,000~2,000時間かかると言われます。
日本の公認会計士試験や弁護士試験はこの数倍かかるといわれているので、こうした日本の最難関と比べたら容易な試験ということになります。
とはいえ、コツコツ毎日勉強を続けなければ1,000~2,000時間は積みあがりません。
集中力をもって、長期スパンで自己管理できる人でないと全科目合格はできない試験です。
わたしの考える超主観的な難易度は、
MARCH<早慶底辺学部<USCPA試験<早慶難関学部<公認会計士試験(日本)
すいません、あまりピンときません…
言いたいことは、1年半~2年のスパンで、自己管理ができない、毎日勉強する習慣が取れない、という人は合格できない。逆にいうと、それができれば全科目合格が可能です。
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USCPAになるメリット
USCPAは「英語x会計」のスキルを証明する資格として知られています。
米国では監査法人や税理士法人で働く専門職の資格という色彩が強いですが、日本ではこうした会計専門職にだけでなく、一般企業の財務経理、経営企画、コンサル、営業職にまで人気のある資格です。
USCPAになると次のようなメリットがあります。
- 高年収が狙える
- 転職で有利
- 自己研鑽として最強
USCPAはコスパよく高年収が狙えます。
日本の公認会計士が多く所属する監査法人は、USCPA有資格者、USCPA全科目合格者も積極的に採用します。特にコンサル部門で。
大手監査法人4社「BIG4」では、マネージャーになれば年収1,000万円、がひとつの目安です。
BIG4のマネージャーに昇進する目安がだいたい10年なので、新卒入社の場合は30代前半で1,000万円プレイヤー入りとなります。
一部上場勤務の人は注意。BIG4と一部上場企業では、たぶん給与水準はそんなに変わらない。
USCPA資格を取れば、出身大学名に関係なくBIG4は面接に呼んでくれるので、無名大学出身者が一発逆転するためのツールとして十分すぎるほど機能します。
BIG4などの会計事務所(監査法人、税理士法人)の求人に加え、一般の企業の財務経理、経営企画からの求人もあるので、転職にも有利に働く資格がUSCPAです。
英語と会計というスキルは経理や経営企画などのバック・ミドルオフィスで需要があります。
日本本社の経理というよりは、海外子会社を経理・管理する人材としてUSCPAが期待されてるケースが多いでしょう。
USCPAを取って転職を目指す人は、海外に拠点がある企業の「海外子会社管理」という需要を見据えるべし。
直接的なメリットではないかもしれませんが、USCPAは自己研鑽としては最強です。
英語力アップのためにTOEICで900点を目指す人、取引先の財務諸表が読めるようになるために簿記2級取得に向けて勉強している人、など様々なアプローチで自分のスキルアップをみなさんしています。
USCPAはそうした自己研鑽の方法の中でも最強です。
受験勉強の中で自然に英語を駆使していくことになりますので、TOEICや英検のように机上で身に着けた英語とは異なります。
財務会計、税法、管理会計、経済学、経営学、ビジネスライティング、監査といった分野が試験範囲なので、ビジネスの根幹を広く学習することができます。
もちろん全科目合格までに高額の費用がかかってしまいますが、英語×会計というビジネスマンにとって付加価値の高いスキルを学べる機会はそうそうありません。
TOEIC、簿記、中小企業診断士なんかに興味を持つ意識の高い人にとっては、自己研鑽の場としてUSCPAチャレンジが最強です。
弁護士資格や日本の公認会計士資格ほど膨大な勉強時間を費やす必要がないこともポイント
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どれくらいの勉強時間が必要?
全科目合格までに必要な勉強時間はどれくらいでしょうか?
大手予備校は1,000時間が目安、と言っています。本当でしょうか?わたしの実体験を紹介します。
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わたしが実際に費やしたUSACPA試験の勉強時間はこんな感じです。
科目 | 合格までの勉強時間 | 合格までの期間 | 一日当たり勉強時間 |
FAR | 1,100時間 | 12カ月 | 3時間 |
REG | 340時間(EA試験含む) | 4カ月 | 3時間 |
AUD | 350時間 | 4カ月 | 3時間 |
BEC | 180時間 | 2カ月 | 3時間 |
合計 | 1,970時間 | 22カ月(1年10カ月) |
FARがずば抜けて勉強時間が長いです。
おそらくわたしは極端な例でしょう。
しかし、FARに最も時間を要するというのはほとんどの受験生にとって共通です。
ちなみにREGについては、USCPA受験の直前にEA(米国税理士)試験に合格しています。
EA試験はUSCPAのREGと半分くらい試験範囲が被るので、EA試験の勉強時間をある程度を上の表の数字に加えています。
勉強時間や期間(月数)はそれぞれ異なりますが、一日当たりの勉強時間になおすと、全科目おおよそ一日3時間のペースでした。
たとえば、AUDは一日の勉強時間3時間を通算4カ月(120日)続けたら合格した、というイメージです。
全科目合格までに約2,000時間も必要だったんですか!?
教材費用をケチって洋書ばかり使っていたわたしの場合はそうでした。もし、最初からアビタスで勉強していたら、誇張でなく半分の時間で全科目合格していたと思います。
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わたしの場合は、教材が安い洋書だけであったため効率的な学習ができず、全科目合格までに2,000時間、22ヵ月(ほぼ2年)かかりました。
しかも、過去に二度、約10年前と約5年前、もチャンレジし、挫折しています。(過去二度とも洋書だけで学習)
AUDがきっかけでアビタスに出会いましたが、もしアビタスの教科書を買ってなかったら今でもまだ受験生だったでしょう。
アビタスやTACなどの日本の予備校教材を使用していたらその半分、1,000時間程度で学習が済んでいたはず。
みなさんにはわたしのような失敗をしてほしくないので、一見少し値が張るように見えるアビタスやTACを選んでほしいです。
それが最もシンプルな「USCPA試験を最短で合格するテクニック」のひとつです。
合格までの学習スケジュールをたてる
USCPA受験は長丁場です。
マラソンのようなものです。
無理のない学習スケジュールをたて、着実に勉強を重ねていくことが全科目合格の秘訣です。
どのような考え方で学習プランをたてるべきか一緒に考えていきましょう。
そして、正しい考え方にもとづいた3つの学習スケジュールのモデルを紹介します。
スケジュールをたてるときのポイント
学習スケジュールをたてる際は以下のポイントを考えます。
- 科目合格の有効期限は18カ月
- FARの勉強時間がもっとも長い、つぎにREG
USCPA試験はいちど合格すると18カ月間有効です。
言い換えると、1年半までにのこりの3科目を合格しないと、合格した科目は失効になり、再受験しないといけません。
一度合格すると、その時点から18カ月という時計の針が回りはじめます
また、4科目の中でもっとも勉強時間を要するのがFAR。つぎにREG。
人によってはREGよりAUDにより多くの時間を費やすこともあるでしょうが、テキストや問題集のボリュームだけで測るとREGの方がAUDよりも情報量が多いです。
BECがもっとも学習量が少ないのは、ほとんどの受験生で異論ないと思います。
以上を踏まえると、BECやAUDに先に合格してしまうと、一番時間を要するFAR、または次点のREGに割ける勉強時間が18カ月だけに制限されてしまいます。
また、公認会計士という仕事の性質から考えても、勉強時間に占める割合から考えても、FARがUSCPA試験のメイン科目です。
USCPA試験はFARを合格してなんぼ、なので、まずはFARから受験すべきです。
また、テキストと問題集のボリュームでみればREGもかなりの量です。
わたしはREGで一度USCPA受験を挫折しています。
そのため、USCPA試験の鬼門はREGだと思っています。
つまり、USCPA試験の山は2つある。
FARとREGです。
受験科目の順番
4科目をどの順番で受験していくかは、いろいろな考え方があります。
USCPA予備校のアビタスでは、FAR→AUD→BEC→REGという順番を推奨しているようです。
TACでは、FAR→BEC→REG→AUDの順番です。
わたしは、FARの次はREGを受験すべきだと思います。
なぜならFARとREGを合格すれば、USCPA試験全科目合格まで残りもう少しだからです。
なかなか合格できない人に多いのが、「ラクそうなのでBECから受ける」、「FARやREGから逃げるためにBECを勉強する」という傾向です。
わたしのこと言ってますか?
USCPA試験とはFARであり、REGなのです。
この二科目から逃げてはいけないのです。
であれば、FARとREGはまっさきに受けなければいけません。
逆に言うと、FARとREGに合格できれば、BECとAUDにかならず合格できます。
BECとAUDに合格できても、FARとREGに勝てるとは限りません。
学習スケジュール
無理をしないゆったり学習プランから、早期合格を目指すプランまで、3つの学習スケジュール例(モデル)を作ってみました。
- 1年10カ月(22カ月)で合格を目指すスケジュール → 無理せず勉強したい人向け、仕事が忙しい社会人向け
- 1年6カ月(18カ月)で合格を目指すスケジュール → 仕事が忙しいけどある程度英語×会計のスキルがある人向け、大学生向け
- 1年2カ月(14カ月)で合格を目指すスケジュール → 追加の単位取得が必要ない人向け、高い英語×会計スキルがある人向け、大学生向け
すべてのモデルでは受験科目の順番をFAR→REG→AUD→BECとしています。
1年10ヵ月(22カ月)で合格を目指すスケジュール
22カ月で合格を目指す場合、次のようなスケジュールとなります。
無理せず勉強スケジュールを組みたい人や仕事が忙しい人にはおススメ。
ほとんどの人にとって最も現実的な学習プランです。
FARの学習に7カ月かけます。
ここではアラスカ州での申請を想定して、FARの単位取得(15単位)の学習期間1~2カ月を含めています。
仕事が忙しい人でも、毎日30分~1時間でもコツコツ勉強を続けることができれば、7カ月で仕上げることは十分可能です。
REGに半年もかけるのですか!?
このプランは早期合格を目指すより、無理なく学習を進めることに重きを置いています。REGもそうとうな学習量が必要ですから、妥当なスケジュールです。
AUDに5カ月というスケジュールも、抽象的な論点が多いAUDを丁寧に焦らず進めていくにはちょうど良いと思います。
BECは、WC(Writing Communication:英語での作文)を考慮しても、4カ月という期間で合格水準まで仕上げることは十分な可能な科目です。
このスケジュールの場合、最初の科目合格(FAR)の後から16カ月で全科目合格となります。
つまり、FARの有効期限が切れる2カ月前に全科目合格をするモデルです。
有効期限が切れるリスク(科目合格失効リスク)をFARに負わせたくない。なぜならFARが一番たいへんだから、もう一度勉強したくないから。どうせならBECに失効リスクを負わせたい!という考え方もあります。
それでもわたしはFARから受験すべきという立場です。
1年6カ月(18カ月)で合格を目指すスケジュール
つづいて18カ月で全科目合格を目指すスケジュール。
仕事が忙しいけどある程度英語×会計のスキルがある人はこのくらいのスケジュールで仕上がるでしょう。
また、ある程度まとまった時間が取りやすい大学生にもおススメのスケジュールです。
18カ月プランでは、各科目の学習期間が上述の22カ月プランに比べて1カ月短いです。
とはいえ、FARに6カ月、REGに5カ月という十分な学習期間を確保しているので、決して無理したスケジュールではありません。
ここでもFARの単位取得(15単位)の学習期間1~2カ月を含めています。
FARの有効期限が切れる6カ月前に全科目合格するモデルです。
1年2カ月(14カ月)で合格を目指すスケジュール
最後は早期合格を目指す学習モデル。
働いている人の場合、受験開始時点で英語×会計のスキルがかなり高いこと(日本の公認会計士とか)が前提です。
大学生で一日あたり十分な勉強時間が確保できて、かつ資格試験が得意な人であればイケるかも。
ただ、どれだけスペックが高くても、追加で単位取得が必要な場合はかなり厳しいスケジュールです。
FARの有効期限が切れる9カ月前に全科目合格するモデルです。
かなり早いペースです。
USCPA予備校の合格体験記を読むとこれくらいで合格できるもんだと思ってしまいますが、合格した人のスペックをよく見ると既に日本の公認会計士や弁護士だったりするので注意。
みなさんが学習スケジュールや受験プランを考える際、上記が参考になれば幸いです。
ちなみに、1年10か月モデルと1年6カ月モデルで「FARの単位取得(15単位)の学習期間1~2カ月を含めています」とさらっと言っています。
必ずアビタスかTACで単位取得してください。そうでなければ(たとえばもし自力でなどと考えてたら)、膨大な時間とお金が消えていきます。
まとめ
USCPA試験に合格するコツは、無理のない、現実的な学習スケジュールをたて、それに沿って勉強を地道に積み上げていくこと。
本記事では、3つの学習スケジュールを紹介しました。
- 1年10カ月プラン:無理せず勉強したい人、仕事が忙しい社会人
- 1年6カ月プラン:仕事が忙しいけどある程度の英語×会計のスキルがある人、大学生
- 1年2カ月プラン:追加の単位取得が必要な人、英語×会計スキルが高い人、時間のある大学生
このスケジュールをたたき台にして、ご自身に適切な学習プランを作ってみてください。
USCPA試験はコツがあります。
コツさえ掴めば、あなたでも必ず合格できる試験です。