この記事で解決できる悩み
- USCPA(米国公認会計士)新試験ってなんですか?
- 新しくなる米国公認会計士試験っていつから?どんな内容?
- USCPA試験が新しくなることで受験生のわたしにどんな影響があるの?
今、一生懸命勉強しているUSCPA試験が変わってしまうのですか?
2024年1月から新試験に移行の予定です。
現行の試験を受験している人、これから試験に挑戦する人、それぞれどのように影響があるか、についても解説します。
この記事を読めば、新試験にたいしての理解が深まります。
新試験の理解が深まれば、USCPA試験全科目合格の目標がぐっと近づきます。
目次
新試験の概要
なぜ試験が新しくなるのか?
USCPA試験はだいたい数年に1回アップデートされてます。
10年以上も前のはなしになりますが、わたしが大学生のころも「USCPA試験がもうすぐ変わる。今のうちに合格した方が良い」という声がありました。
マイナーなアップデートは毎年行っているといっても良いでしょう。
車と同じですね、マイナーチェンジは毎年、フルモデルチェンジは5~6年に一度。
米国公認会計士協会は今回の新試験移行のプロジェクト「CPA Evolution」で、USCPA試験をアップデートしなければならない理由を次のように発表しています。
- ビジネス環境が変化しているため
- 今後のUSCPAに必要な能力を適正に評価するため
ビジネス環境の変化についていくため
USCPAを取り巻くビジネス環境はどんどん変化しています。
具体的には、
- 会計基準の変化
- 監査基準の変化
- 税法の変化
この40年間で、米国会計基準は4倍、監査基準は5倍、税法は3倍に増えました。
こうしたコンプライアンス基準の増加に対応できるUSCPA試験を作ることが今回のアップデートの目的のひとつ。
これからのUSCPAに必要な能力を適切に評価できるようにするため
これからのUSCPA(米国公認会計士)に求められる能力も変化してきています。
今後のUSCPAに期待される能力を適切に評価できるようにUSCPA試験もアップデートされなければいけません。
米国公認会計士協会は、これからのUSCPAは次のようなスキルを持つべきだと考えているようです。
必須スキル
- クリティカルシンキング
- プロフェッショナルとしての問題解決
- ビジネス環境理解
- データ管理・分析
- プラットフォーマーの内部監査
プロフェッショナルとしての問題解決力は、ウェブの検索で容易に知見が得られる世の中で、会計士が付加価値を生むために必要なスキルです。
データ管理・分析力は、企業活動をビッグデータでとらえるための必須スキル。
プラットフォーマーの内部監査とは、GAFAに代表されるようなプラットフォーマーとの接点が必ずある昨今のビジネスにおいて超重要な論点です。
顧客管理であればセールスフォース、サーバであればAWSなど。
プラットフォーマーの内部監査、プラットフォームを利用する側の内部監査は比較的新しいコンプライアンスの論点です。
いつから新試験がはじまる?
2024年1月から予定されています。
いきなり新試験がスタートされるわけではありません。
2022年7月までに、新試験の内容が実務と乖離していないかどうかを調査するようです。
2022年7月に調査結果(ドラフト)を発表する予定。
2023年1月に新試験の詳細を発表して、大学やUSCPA予備校が教材を新試験に対応するよういっせいにアップデートに動きます。
調査が2022年7月までに完了するか分かりませんし、新試験の詳細(ブループリント)も2023年1月に発表できないこともあるでしょう。
各所で遅れが出れば、2024年1月新試験ローンチという目標も変更になる可能性はあります。
新試験の試験範囲は?
新試験では3つのコア科目と1つの専門科目を受験します。
専門科目は3つから選びます。
コア科目
- ACCT:Accounting and Data Analytics(会計とデータ分析)
- AUDIT:Audit and Accounting Information Systems(監査と会計システム)
- TAX(税務)
ACCTは、従来のFARとBECの一部が組み合わさったようなものです。
AUDITは、従来のAUDとBECの一部が組み合わさったようなもの。
Taxは、従来のREGにほんの少しだけBECの要素が追加されたようなもの。
専門科目
- BAR:Business Analysis and Reporting
- ISC:Information Systems and Controls
- TCP:Tax Compliance and Planning
BARは、従来のFARとBECの一部。
ISCは、従来のAUDとBECの一部。
TCPは、従来のREGとBECの一部。
現行試験ではITリテラシー能力はBECの範疇でした。
新試験では、すべての科目でITリスク・ITガバナンスに対する能力を問われるようです。
つまり、新試験は下記のようなイメージ。
- 現行のBECがFAR、AUD、REGに組み込まれる
- ITリテラシーはコア3科目、専門1科目の全てで重視される
新試験と現行試験の比較を表にしました。
全4科目で見れば、試験内容が大きく変わるというより、出題範囲がシャッフルされる、というイメージに近いですね。
そうですね。
米国公認会計士協会によれば、新しいコンテンツとしてはデータ管理や分析、ITリスクやITガバナンスなどIT系がメインのように見受けられます。
新試験の出題形式は?
新試験の出題形式はまだ分かりません。
出題形式は、2023年1月の新試験の詳細(「ブループリント」)に記載されます。
近年の傾向としては、四択問題(Mutiple Choice)の数が減り、TBS(Task Based Simulation)問題の数が増えていました。
2024年1月の新試験でもこの傾向が受け継がれるか、2023年1月のブループリントが注目です。
新試験の受験費用は?
新試験について受験費用が変わるかどうかは言及されていません。
現行の受験料をおさらいしてみます。
現行の受験料
新規申請料 170ドル
再申請料 90ドル
受験料
AUD 226.15ドル
BEC 226.15ドル
FAR 226.15ドル
REG 226.15ドル
国際試験利用料 371.55ドル
受験料が上がるとすれば、新試験が導入されるタイミング以外にも次のようなきっかけがありえます。
- アメリカがインフレしているから値上げ
- USCPAの敷居をあげる目的で値上げ
現時点では新試験導入によって受験料に変更があることは一切言及されていません。
新試験までのタイムライン
今後のタイムラインは下記のように予定されています。
- 2022年7月 「新試験と実務の乖離についての調査」結果発表
- 2023年1月 新試験の詳細(ブループリント)発表
- 2024年1月 新試験の開始
2022年7月までに公認会計士協会は、新試験で出題される内容が実際のUSCPAの現場と乖離していないかどうか調査します。
試験と実務の乖離についての調査結果が2022年7月に発表されます。
2023年1月に新試験の詳細が発表されます。
詳細は「ブループリント」と呼ばれるもので、以下のような内容がブループリント内で公開されます。
- 試験時間
- 出題形式や問題数
- 採点方法
- 試験で評価される受験生のスキル
USCPA予備校が本格的に教材づくりをはじめるのはブループリント公開後でしょう。
ブループリントが公開された1年後、2024年1月から新試験がスタートする予定です。
受験生への影響
USCPA試験が新しくなることによって受験生にはどのような影響があるのでしょうか?
2022年2月時点で分かっている情報をもとに考えてみます。
現行試験はいつまで受験できる?
現行の試験がいつまで受験できるかは発表されていません。
新試験のスタートが2024年1月からの予定なので、2023年いっぱいまでと予想されます。
新型コロナ以降、毎月試験予約ができるようになったので(ウィンドウ制ではなくなったので)、2023年12月が現行試験を受けられる最後のタイミングと思われます。
現行試験の科目合格は?
現行試験の科目合格がある状態で2024年1月を迎えたらどうなるのでしょう?
現行試験の科目合格が、新試験の施行後にどう取り扱われるか公式な発表はまだありません。
科目合格を持ったまま2024年1月を迎える受験生は、下記のいずれかの対応になるはずです。
- 全4科目合格まで現行試験を継続できる
- 残りの科目は新試験を受験する
どっちの対応になるのでしょう?
USCPA受験に必要な単位要件が変更されることはよくあります。
ほとんどのケースでは、単位要件が厳しくなる、つまりより多くの単位を取得していないと受験させてもらえなくなります。
しかし、すでに受験をはじめている人は旧要件が適用されつづけます。
州によっては、「旧要件で受験している人は20XX年までに全科目合格してね。20XX年以降は新要件満たしていないと、たとえ旧要件で科目合格があっても、もう受験させないよ」と線引きします。
同じ理屈で考えれば、「旧試験で科目合格がすでにある人は、旧試験を受験できる期間をある程度延長」という取り扱いになる可能性は高いと考えられます。
現行試験の科目合格の一番最後は2023年12月受験ですから、その18カ月後、つまり2025年5月に現行試験の最後の科目合格が失効します。
ということで、「現行試験で科目合格がある人は、2025年5月まで現行(旧)試験を受験できる。それ以降はみんな新試験を受ける」というシナリオが予想されます。
あくまで当ブログ管理人の予想です。公式情報がアップデートされしだい、当ブログでも紹介していきます。
受験スケジュール
今すでにUSCPA試験の勉強をはじめている人にとっては、2024年1月までに全科目合格してしまうべきです。
なぜなら新試験が難しくなるのか、現行試験の科目合格の取り扱いがどうなるのか、など不確定要素が多すぎます。
2023年1月に新試験の詳細であるブループリントが発表予定です。
ブループリントをもとにUSCPA予備校は教材をアップデートします。
つまり、2023年のどこかのタイミングから新試験対応の教材で勉強することができる。
予備校も大急ぎで教材を更新するでしょうから、4月ごろには新試験対応のコースが開講するのではないでしょうか。
新試験から受験する人は、USCPA予備校で新試験対応の教材が利用可能になってから、つまり2023年の春ごろから勉強開始となるわけです。
一方、現行(旧)試験で勉強をしている人、科目合格している人は不確定要素が多いです。
- 科目合格いつまで有効?
- 科目合格あれば2024年1月以降も旧試験を受けることができる?
- いつから新試験の勉強に切り替えるべき?
などなど。
前章でも述べましたが、当ブログの予想では、旧試験で科目合格がある人は、2024年1月以降も、ある一定期間までは、旧試験を受験できるようになるのではと思います。
新試験の難易度
新試験って現行試験よりも難しくなるのでしょうか?
米国公認会計士協会としては、合格率を極端に上げたり下げたりはしたくないでしょう。
新試験が現行試験より難しくなるのかどうかは未知数です。
USCPA予備校の教材が新試験にしっかり対応できないリスクもゼロではありません。
すでに現行試験の勉強を開始している人や、まだ開始していないが全科目合格までに十分時間が見込める人は現行試験のうちに合格してしまいましょう。
新試験に対応できる教材・勉強方法
2023年1月に新試験の詳細「ブループリント」が発表されます。
アビタスやTACなどのUSCPA予備校は、ブループリントが発表されたらただちに教材のアップデートを開始するはずです。
もしかしたらブループリント発表前に内々に情報を入手しており、2022年中から教材のアップデートをはじめているかもしれません。
USCPA予備校で新試験対応のコースがはじまるのは、遅くとも2023年の春ごろではないでしょうか。
来年の春以降からUSCPA試験にチャレンジしようと思っている人は、新試験対応の教材を使うべき、ってことですね。
新試験がはじまると、最初のころは新試験対応の教材がメリカリに出回っていない、というのが独学の受験生にはマイナスな点。